・では16世紀の最初の頃の作品を見て行きます。・ヒエロニムス・ボッシュの作品です。この人は大変オドロオドロした絵を描く人ですが、この人の主要な作品はプラド美術館にあります。キリストを描いた作品です。この絵はキリストの絵に必要な人物や背景が描かれています。鍵を持っている聖人はペテロですね。前でひざまずいている人は不明ですが、此の作品を依頼した人だと思われます。此の時代の作品には必ず制作を依頼した人が自己アピールのために描かれます。

聖アントワーヌの誘惑
●と云う作品です。これの本物はリスボンにありもっと大きいものです。色がもっと鮮やかだと聞きました。聖アントワーヌと云うのは紀元3世紀のエジプトの人で、お金持ちだったのですが、自分の全財産を貧しい人にあげて、自分は砂漠で隠遁生活をしまして105歳まで生きたといわれています。最初の15年は悪魔との誘惑の戦いで大変だったと言われています。ですからこの作品は悪魔との誘惑の誘いと戦っている姿を描かれています。左のパネルを見ますと悪魔に連れ去られようとしている姿で、仲間がそれを助けようとしている図で、こちらのパネルには飲んだり食べたりしている人たちの間にいる姿が描かれています。このボッシュと云う人は当時の上流階級の人たちの狂気をうまく絵に表している人だそうです。