ヘラクレスの間 ●「ジャン・フェルデナンド・マルシャン」の時代にはヘラクレスのアパルトマンの客間でした。当時の装飾では、スタッコの白と暖炉の黒い大理石とのコントラストが意図されていたと考えられます。14の円形浮き彫り彫刻が壁に飾られたのは18世紀になってからです。金箔木製の額縁に入った14のローマ皇帝のブロンズの肖像は、18世紀の文書にも語られています。ジャン・クリスチャン伯爵のスタッコはここでもヘラクレスをテーマにしています。2つのシャンデリアをご覧下さい。18世にビエージュで作られました。椅子も18世紀オランダ製ですが、その寄木細工は花瓶、鳥、花、とりわけ象牙と貝のジャスミンの花など一つ一つ異なったデザインです。 ●食卓にはフランス ジアン製の食器やバルサンランベールのクリスタルのグラスがあります。44人前の食器は1870年城主夫妻のために作られました。婦人は家紋を食器につけたいと願ったのですが、夫は反対で最終的には、ご覧のように「モダーヴ城」と描かれたリボンをつけるように落ち着いたようです。全部で1130個の食器にこのリボンがついています。 小ホール ●ここにも家系図があります。これはマリーの父親「アンリード・バルザック・ダントレーグ」の家系図です。この人はクレルモン公爵で15世紀以来フランス国王に近いきわめて古い家系に属しています。ダントレーグ家の祖先は15世紀イギリス人をフランスから追い出すためにフランス国王に財産の一部を差し出したのです。天井四隅にある「一角獣」の彫刻は全能を象徴し、バルザック家の勢力を示しています。壁の窪みには引き水があります。水はスタッコ製の怪人トリトンの口から18世紀の貝型の赤い大理石に流れています。快い水音をたてるこの水は、かって洗面台や蛇口がなかった時、食卓につくまえに手を洗うのに用いられました。このお城は岩の上に建てられていますが、その岩のふもとに流れるホイーユ川から水を汲むポンプ施設により、水道が作られていたのです |