ベランダ
このベランダからは約60mの深さの谷が見えます。谷底を流れるホユール川は、ここから約12km離れたウィーデムーズ川につながっています。この川の両側の丘からブラッセル水道企業体は75年来、1日8万立方メートルの水を集めています。ここの水が完全に純粋なのは、石灰岩を通しての透水で一滴一滴自然にろ過されるからです。ここから100kmのブラッセルに勾配だけを利用して送られます。水を送り出す機械は一切必要とせず、ムーズ川を越えるのはサイフォンの原理を利用しています。450haのこの地域は自然と鳥類の保護区に指定されています。

画家の客間
●17世紀アパルトマンには1つないしそれ以上の小部屋がありました。それはアパルトマンの中でも最も私的な部屋で、そこに住む主人の人柄が表れる仕事場や休息室です。コレクションの品々を納める骨董品の間や絵画の間、さらに読書や書き物をする書斎などがあります。このキャビネットや天井の板張りなど17世紀のマルシャン伯爵の改築以来そのまま保存されました。絵の上にはフリーズがあります。絵の間には金色の虚像柱が並んでいます。風景や花を描いた絵は18世紀オランダ派のものとされていますので、かっては、この部屋にはもっと古い絵があったはずです。マルシャン伯爵夫人がこの部屋を使っていたときは、椅子や黒檀のエレガントなテーブル、小机などが置かれていました。伯爵夫人は読書の合間に窓際に立って美しい景色に見とれた事でしょう。

浴室
●リエージュのレジャンス様式の板張りのある美しい浴室は18 世紀のものです。小さい浴室ですので、右に見える暖炉で暖房できます。しかしここで珍しいのは浴槽でお城の土台になっている岩に直接掘り込まれています。浴槽が使われないときは、床と同じ寄木針のフタで隠されています。浴槽は亜鉛張りです。酸化亜鉛還元の方式は、イエージュ方式と呼ばれますが、それはドミーと云うイエージュ人が19世紀はじめ発見したためです。この発見は亜鉛の冶金業の誕生を促しました。浴槽と窓の間の扉はトイレに続いています。トイレは簡単なもので、孔を開けた板が岩の上に張り出しているものだけでした。